dry_box’s blog

化学とゲームについて語りたい

ゲーム実況をはじめちゃいました

お久しぶりでございます。

色々と仕事が忙しくブログ書くのを怠けていたら年明けてしまいました(テヘペロ)

 

科学ニュースはちょこちょこ更新して行くこととして、今日は最近始めたことについてお知らせしたいと思います。

 

実は最近YouTubeでゲーム実況をはじめました!

「え、今頃?」って声も聞こえてきそうですが、はい今頃です。

最近ですね、ポケモンユナイトというゲームにドハマりしておりまして。

知らない方に説明すると5vs5のMOBA(マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ)形式で、簡単に言えば相手の陣地にどれだけポイントを入れたかを競うゲームです。

30匹以上いるポケモンの中から好きなポケモンを選んでチーム戦をするといった感じのゲームとなっており、現在ランクマッチで最高位のマスターランクになっています。

マスターランクの中でもレートがあり、1200からスタートし現時点ではレートが1970近くあるといった感じです。

本当だともうすぐで世界ランクに載るといったところで足踏みしている状況が続いています…。

 

まあそんな腕前まで来たのでそろそろこのゲームで配信してみてもいいかなっと思い、キャプチャーボードという配信用の機材を購入してしまいました。

↓が購入したキャプチャーボードですね。

 

まあー人はなかなか来てもらえないし、コメントもなかなかないのですがこれが楽しいんですよね。

日曜日は家に一人になることが多いのでそうなると永遠に配信してるといった感じです。

一応リンク載せておきます。

 


まとらぼmat-labo - YouTube

 

ポケユナも配信してますが、本来はファイナルファンタジーをしたくて配信始めたんですよね。

最近ピクセルリマスターというSFCFF6までをリマスターしたものがsteamで配信されたので、

せっかくなら一人でやるより配信してアーカイブ残したいなーって感じでした。

そちらも上のYouTubeリンクにあるので是非覗いてあげてください。

時間があれば勉強動画とかあげてみたいですね。何か皆さんの中で気になることあれば取り上げたいと思います。

 

それではまた。

高校の化学って暗記なの?

皆さんこんにちは。

本日は僕自身が思っていたこと、「高校化学って暗記じゃん!」って話について少し触れたいと思います。

 

結論から言うとですね、暗記6割、思考力4割の科目だと思います。

やっぱり暗記じゃん…ってなる人、その気持ちよくわかります。

でもね、どの教科でもそうじゃないですか?数学だって、計算方法、公式なんてその場で編み出すわけじゃなく、いわば暗記ですよあれも。

 

でも覚える量は数学に比べたら多いと思います。

最初から周期表覚えさせられて、イオンの名前覚えさせられて…。

でもね、周期表覚えたら便利なことしかないんですよ。

 

右上にいくに従ってイオン化エネルギーが高くなるってのは、ハロゲン原子たちはほとんど希ガスの電子配置になっているから、そこから電子を1個奪い取るのは大変そうだなとか、

電子親和力も右上にいくに従って大きくなるのは電子引き寄せたほうが希ガスに近づくでしょとかね。

周期表の右側にあるものと左側にあるものがくっついてたらイオン結合だななんてほぼ覚えることじゃなくなるんですよ。

 

なので、暗記科目と思いすぎず、楽しんで学んでいきましょう。

次回以降、各項目について少しずつお話していきます。

 

高校生の方で聞きたいことがありましたらご連絡いただければお答えいたします。

ここまで見ていただきありがとうございました。

嫌なスルホネートはDABCOで消し去れ!

私の会社は明日が休みとなっており、3連休を満喫しておりますが皆さんはいかがでしょうか。

暇があればテトリスポケモンユナイトをやって、したい勉強は後回しにしてしまう悪い習性をどうにかしたいと思う今日このごろです。。。

 

さて、本日紹介する論文がこちら。

"Removal of Alkyl Sulfonates Using DABCO"

https://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acs.oprd.1c00335

 

というわけでVertex Pharma社のLeeさんらがOPRDに報告した論文になります。

アシルスルホンアミドという構造は薬化学では広く用いられており、極性を持たせたり水素結合を作ったりするのに便利な構造です。

ja.wikipedia.org

またこれの合成ってすごい簡単なんですよね。

対応する塩化スルホン酸とアミドを用意してトリエチルアミンとかの塩基存在下でグルグルかき混ぜるだけで出来ちゃいます。

アミドなんて薬の構造によく入ってる官能基だし、少し構造の調整したいなってときに容易に導入できるためスルホンアミドは重宝されてきました。

 

一方で、大量に薬を作るにあたっては溶媒も100%きれいなものでは価格が高くなってしまうため、どうしても数100ppmとかの量の不純物を含んだものを使用します。

著者らがこういった純度の溶媒で薬を作ろうとすると、この溶媒に含まれるアルコール(メタノールとかエタノールとか)が塩化スルホン酸と副反応を起こしてしまいアルキルスルホネートを副生します。

このアルキルスルホネートが厄介者で、DNAと反応したりといった変異原性(がんを誘発したり)を持つ化合物が多く知られています。

薬作って患者さんに投与するのに、病気にさせる可能性のある化合物が入っているなんてなったら誰も飲みませんよね…。

もちろん国はそんなものが入っていたら認可しませんが。

 

ということで、このアルキルスルホネートをできるだけ簡単・効率的に除去できないかを調査したというのがこの論文になります。

一般的に保護基を除去するのに用いられるアンモニア水や塩酸、水酸化ナトリウムでは77%の除去はできますが、若干量は残ってしまうことがわかりました。

一方でDABCOと呼ばれる塩基を用いて1日加熱していると100%除去できることを見出しております。

ja.wikipedia.org

DABCOって塩基性としてはトリエチルアミンぐらいなんですね。また構造については詳しく述べたいと思いますが、窒素の非共有電子対が外側にむき出しになっているので、求核性が極めて強いことが知られております。

この求核性がちょうどよくて、原薬のスルホンアミドは分解させずにアルキルスルホネートを分解することができるといった役割をしてくれます。

他にもピロリジンといった塩基もアルキルスルホネートの分解に使えるよってことを報告しています。

でもね、このピロリジンちょー臭いんです…。言ってしまえば男のアレのような…

しかもこのピロリジン、他の部位にケトンとかアルデヒドとかあるとイミンとかエナミンを作ってしまうので出来れば使いたくないですね。(とにかく臭いし)

ja.wikipedia.org

 

アルキルスルホネートの分解反応機構ですが、至ってシンプルなSN2反応で進行しアンモニウム塩を形成します。ですので、DABCO入れて加熱して水とか塩酸で分液するだけで除去ができてしまう!

手軽っていいね!

 

意外と溶媒効果はなくて2-MeTHFとかNMP、MeCN、EtOAc、tolueneなんかでも除去できるのはすごい便利ですね!

ただ溶媒に少し水が入っていないと分解速度が遅延するようなので古い溶媒のほうがいいのかもしれないですね。

 

今日はこの辺で。

もしわからないところとか気になる箇所、聞きたいことがありましたらコメント、DMお願いいたします。

ここまで見ていただきましてありがとうございました。

 

有機化学でも120年越しの偉業!-Grignard試薬の新しい調製法-

タイトルだけ見たら大谷翔平選手みたいですね()

まあ化学界隈ではそれくらいインパクトの高い論文が発表されました。

今回ご紹介する論文がこちら!(この論文ですがオープンアクセスといって雑誌購読料なしで読めます)

www.nature.com

というわけで第一弾の紹介は北海道大学の伊藤肇教授の研究になります。

伊藤先生は近年メカノケミストリーに注力されております。

 

メカノケミストリーとは簡単に言うと物理的な力で化学反応を行うといったものです。

皆さんの考える化学反応ってフラスコに溶液が入ってるイメージじゃないですか?

このメカノケミストリー、金属の容器に粉末入れてペーストにして掻き混ぜたり、袋に入れて叩いたりと普通の有機化学者には到底考えられない反応方法です。

ですが、これだと溶液ですぐに分解してしまう化合物や上手く行かない反応が行ったりと新しい化学が現在進行系で展開されています。

youtubeに研究紹介されている動画がありますので、ご興味のある方は是非見てください。

www.youtube.com

 

で、今回紹介するこのメカノケミストリーですが、Grignard試薬が作れたという報告です。

Grignard試薬は1900年にGrignardが発見した試薬でして、今では当たり前に炭素−炭素結合を作ることが出来ていますが、この当時は分析機器ももちろん化学も発達してませんでしたがこの発見を気に有機化学は大きな進歩を果たしていきます。

もちろん今でも工業的に使われる素晴らしい反応でありますが様々な課題が未だなお残されております。

特に個人的には試薬調製時の発熱が厄介で、使用されるエーテル系溶媒は総じて沸点が低いことが多いため、急に還流し溢れ出すといった経験はGrignard試薬を調製されたことのある有機化学者にはあるあるではないでしょうか。

www.chem-station.com

 

今回、伊藤教授らはボールミルという容器を用い、空気中でTHFを3当量とほとんど湿らす程度の溶媒量でこのGrignard試薬を発生させることに成功しました。

実はグローブボックス内で同じボールミルを使ってGrignard試薬を発生させるといった先行研究がありましたが、その際にはGrignard試薬の最大の特徴である求核付加反応が出来ず、プロトン化されるか鉄存在下でホモカップリング体が得られるしかなかったんですね。

しかし今回の発表ではGrignard試薬の調製、つづく求核付加反応を空気中で出来ちゃったというおまけつき!

Grignard反応って不活性ガスで置換して、溶媒の酸素濃度とか水の量とか気にしないとすぐ失敗するのに…言ってしまえば雑でも出来てしまう反応になりました笑

 

またGrignard試薬についてはsp2炭素だけじゃなく、第1級のsp3炭素でも発生させることができていますし、求核付加反応はアルデヒド以外にもケトン、アミド、エステル、ニトリル、シリルクロライドにもちゃんとできます。

さらにこのメカノケミストリーの特徴の一つ、溶解性の低い芳香族化合物でもしっかりGrignard試薬を発生させ中程度の収率で付加物を取得しています。

芳香族化合物ってちょっと芳香環増えるとほんと溶媒に溶けないこととの戦いになるんですよ…100mg作るのに1L溶媒使うなんてザラにあります。

これもこんなSDGsが謳われる昨今に売ってつけですね。溶媒なんて使わないに越したことないですから。

Grignard試薬が発生できるってことは、もちろん熊田−玉尾−コリューカップリングが(これも空気中で!)できますし、共役エノンは添加物次第で1,2-付加、1,4-付加が高選択的に進行します。

 

でもね、これだけ色んな反応が出来てるんだからそれでいいだろとは現代化学では通用しません。

最後にちゃんと分光学的な知見からボールミル内のGrignard試薬と溶液調製で生じるGrignard試薬が同じものであることを確認し、違った反応機構で進んでいるではないことを説明しています。

 

 

ボールミルの反応、工業的にはまだまだ難しいところもありますが先にも述べた環境負荷的観点から広まっていくべきですし、溶液で行う化学から固相でできる化学へ時代がシフトしてきたんだなとしみじみします。

 

 

今後もこのように論文紹介をしていきますので、良ければ楽しんで見ていってください!またコメントもよろしくお願いいたします。

はじめましてと自己紹介

皆様はじめまして。

どらぼと申します。

これまでもブログを始めては飽きてしまってましたが、一念発起、科学の楽しさを伝えたいと思い細々と続けていこうと思います。

簡単にこのブログの方針をば。

  1. 大学有機化学の内容について。
  2. 論文紹介。
  3. 中学・高校化学のお話。
  4. 雑記

といったところでしょうか。

1. 2. 3. はできるだけ同じ頻度の更新ができたらと思いますが、ハードルを上げすぎるとまた更新やめてしまいそうなので、ぼちぼちとやっていきます。

 

他にもなにかコメントやDMなどで面白い質問、気になる質問など来ましたら随時ブログに紹介したり、返信させていただくと思います。返事は100%を心がけていきます!

 

ここまで見ていただきましてありがとうございました。

今後も見ていただけると励みになります。